僕とあの子の天然パーマ

2011.11.15 Tuesday

これはただの思い出話。僕がまだ高校生の頃のこと。

僕の髪の毛は若干クセ毛っぽくて、毛先がクルンとなる。
梅雨の時期なんかはこれがけっこううっとうしい。
でも髪質はけっこう皆それぞれ悩みがあって、クセ毛の人はストレートに憧れ、ストレートの人はクセ毛に憧れたりと、「となりの芝生」状態だなあ、と感じている。

学校にもよると思うけど、僕が行っていた高校は公立の普通科で、「パーマ」は禁止されていた。
そんなある日、僕は生徒指導に呼び出されて「パーマあててんのか」と注意された。
もともとクセ毛だということを伝えたら理解してもらえたのだが、僕の「ある疑問」はこの続きから始まる。

そもそも学校に校則があることそのものには、反発は感じても疑問は感じているわけではなかった。
けれど、ある出来事をきっかけに反発ではなく疑問を感じるようになったのだった。
ある女子生徒がクセ毛をコンプレックスに感じていたらしく、「ストレートパーマ」が許可されたのだった。
「それってどういうこと??」と僕は理解できなかった。

クセ毛のコンプレックスを認めるということは、ストレートのコンプレックスは認めなくていいのか。
そもそもクセ毛をコンプレックスと認めるということは、「ストレートが通常(あるいは正常)」という偏った常識にとらわれているだけではないのいか。極論するとそれは差別に繋がりかねない!!
と、若かりし頃の僕は様々な疑問を感じた。

大人になった今、なんとなくこの出来事を思い返してみる。
でもやっぱり、この点に関しては、理にかなった正しい答えがでてこない。

ルールっていうのは厳守されなければ意味をなさない。けれど、機械的にそれをおしつけるだけでも意味がない。
ルールには意味がある。時代や価値観が変わればその意味も変わってくる。
人々が快適に暮らせるために、ルールは常に更新されなければならない。
ルールのための人じゃなく、人のためのルールだから。

あの時の先生は、髪の毛のコンプレックスなんかよりも、あの子の美しい部分を見つけてあげられたらいちばんよかったんだろうな。

幸福度ランキング最下位の街にて。

2011.11.11 Friday

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今週はいくつか展覧会を観ることができました。
まずは大阪市立美術館での二科展。これは大学の恩師&大学の後輩が出品中。
ギャラリーノマルでの大島成己先生(こちらもわたくしの大学の先生です)の個展。
此花メヂアでの「medias conection vol.02」。これは友人の作家、佐藤健博くん、花岡伸宏くんが参加。
近鉄上本町での堀井聰先生(こちらもわたくしの大学の先生です)の個展。
なんだかんだと、知人の展覧会をめぐった感じです。

天王寺には一心寺があり、我がおじいさまのお参りもすることができました。ここから眺める通天閣は、少し街の喧噪から離れている感じがしてとても好きな眺めです。
御堂筋のイチョウも少し黄色く色づき始めたようで。眺めていると、なんか幼い頃のイチョウにまつわる思い出がよみがえります。行く先々で出会う人たち、出会う作品、出会う景色。今こうして、こういう日々を送れていることの幸せをしみじみと感じながら。
幸福度ランキング最下位の街にて。

雨の木津で

2011.11.05 Saturday

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あれ?この感じ...。こないだの神戸ビエンナーレと同じ...。そう、雨...!!
先日対談をおこなった伊吹さん、そして大学時代の同期の友人が出品している「木津川アート2011」のことを。

まずは、木津・本町エリアから。
印象に残ったのはやはり伊吹拓さんの「絵の声、色の夢」。展示の方法がかなり特殊で、なにか神聖な感じがした。
また、伊藤舞さんの「祖父と私の旅」では僕のボキャブラリーでは表現できない不思議な感覚に襲われた。とくに作品を見終わった「後味」が。
そしてこの時はまだ雨は降っていなくて、知らない街を探索するのも楽しく、のんびり歩いていた...。

次に向かったのは加茂エリア。ここで完全に雨...。とりあえず、うどん屋で昼食を。
少年少女科学クラブの「Catch the Sun」はかなり見応えがあった。最先端のハイテクは使用せず、中学生くらいで習う技術で作品を作るというコンセプトも面白かった。なるほど、メディアが作品なんじゃなくて、メディアをどう使うかが作品なのだということを改めて感じさせられた。
植村忠寿さんの「フキだし屋台プロジェクト」では、僕も言葉をつくってもらった。

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そして、いよいよ...。友人の奥本陽一くんの展示「和同開凛」へ。
彼の作品を見るのは久しぶりやけど、相変わらずで安心(?)した。

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とりあえずやってみた。

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とりあえずやってもらった。

作品名の「和同開凛」は「和同開珎」をもじったもので、加茂町の銭司(和同開珎が鋳造された場所らしい)と、展示会場となる「Coffee豆 凛」という店名とコーヒー、というものからインスピレーションを受けて作品を展開している、らしい。
なんか面白かった。なぜか面白かった。
写真に写っている「ヒゲ」みたいなのは、コーヒーフィルターでできていて、来場者は僕みたいに写真を撮ってもらえるそうで、そのやりとりが妙な具合で面白かった。

あとこの加茂エリアで印象に残ったのは上田周平さんの「上田保護帽製作所」で、ヘルメット型の頭部彫刻は実際にかぶらせてもらった。また、スポンサーを募って地域とつながるというやり方は、システムとして地域と繋がりを持つという意味で、とても面白い方法だと感じた。

最後に行った上狛エリアはあまり時間がなく、急ぎ足でまわったのが少し残念だったが、中橋祥行さんの「光の臨界 ながれのーすくい」と、三上由美子さんの「そこに咲く花」は印象的で、展示空間とのつながりが面白かった。

木津川アートの規模は、1日でまわるのにちょうどといえばちょうどやけど、日頃の運動不足がたたる...。
足が棒に...。あー疲れた!!
でもいろんな人に出会って面白い1日でした☆

展覧会詳細 / 木津川アート2011

雨の神戸で

2011.11.01 Tuesday

先日行った神戸ビエンナーレの思い出話を。

普段、展覧会は一人で見に行くことが多い。なんでかはわからないけど、まあ一人の方が自分のペースで見られるというのはあると思う。
ちなみに今回は大学の後輩二人と行った。久々にこうやって連れ立って行くと、作品についてああだこうだとその場で話ができておもしろいなあ、と感じた。これも嫌いじゃない。
(ちなみにこの「嫌いじゃない」という、なんだかちょっと腹の立つ感じの表現は、作品鑑賞中に後輩の一人がつぶやいたひと言から引用)

元町高架下の展示からスタートしたのだが、この日まわった中ではここがいちばん面白かった。
高架下のちょっと独特の雰囲気のある中に、ポツポツと展示場所があって、次はどんなんかなあ、とわくわくする感じがした。このクセのある場所に対しては、作品の方も一筋縄ではいかない。だから作品も全てとはいわないまでも、場所に対して格闘したり、融合したりと、かなり見応えがあった。
昼食を終えて、ハーバーランドの展示を見た。ここはブース感が強く、先ほどの高架下のような固有の場所性は感じられない。
まあ、その分様々な形態の作品があったように思う。コンテナの形状をうまく活かせば面白い展示ができそうな気がした。
そして時間がなくなってきたので少し急いで、ポートアイランドへ。
完全に雨、そして薄暗い、そして寒い...。あ、ここに最初に来れば良かった...、と。
それはさておきこの海辺での展示、単なる野外彫刻ではおもしろくない。海辺のこの環境をうまく取り入れた作品に魅力を感じた。

全体をとおして思ったのは、やはり「場所性」。自分の制作における課題でもあるからか、すごく考えさせられた。
「神戸」という街、「高架下」という環境、あるいは「日本」という国、単位は色々だがやはり「場所性」を感じる作品には魅力を感じる。
あと、もうひとつ。ひょんなことから感じたのがインタラクティブな作品のこと。そもそも作品は少なからず鑑賞者と関わり合うとは思うが、わざわざインタラクティブという時のインターフェースのあり方というか。
ファミリオの会場内で5人組くらいの子どもがいて、色々な展示を走り回っていた。会場におけるマナー云々はさておき、その子どもたちが興味を示す作品、というのがやはり傾向としてあるのは確かだった。子どもでも興味を持つ作品が、必ずしも優れた作品というわけではないとは思うが、何かしら考えさせられるものはあった。

そして、兵庫県立美術館は時間が足りず行けずじまい。後日あらためて出直そう。

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